戦いを……

 

悪を打ちのめす戦いを……

 

生命と名誉を賭けた死闘を……

 

それこそが存在意義。

それだけが生きる価値をもたらす。

 

あいつを守る為に。

みんなを守る為に。

 

もっと力が欲しい。

どんな壁をも打ち倒せる力が。

どんな敵でも圧倒できる力が。

 

 

(チェンジ!)

恋姫無双

―孟徳秘龍伝―

禁書:胡蝶の夢・天

 

 

 あの戦争から十年の月日が流れた。

 すっかり落ち着きを取り戻した魏の都だが、それでもまだあちこちに戦いの傷跡が残ったままだ。三国で唯一、真ドラゴンの攻撃を受けたこともあって地形そのものが変わってしまった場所さえある。

 だが民たちはその程度の逆境に屈したりはしない。

 ゆっくり、少しずつ、しかし確実に復興は進んでいる。

 変化もある。

 曹操が天一刀との間に念願の第一子を授かったのだ。子の名は曹丕。愛娘をかわいがる天一刀に周囲から若干冷ややかな視線が注がれる光景は日常となっていた。

 つまり世界はおおむね平和だった。

 

 

 今日、この日までは――――――

 

 

 朗らかな日差しが注ぐうららかな午後。詰め所の椅子に腰掛けてまどろんでいた張遼の元に警備隊の伝令が駆けつけてきた。兵士はボロボロで血まみれ、深手を負っているようで相方に肩を借りてようやくここまで辿り着いたようだ。

 聞けば野盗の群れが都の外で異国からの貿易商の一団を襲撃したという。それでも命からがら都へ逃げ込んだ商人を追って、野盗たちも都に侵入したらしい。

「侵入してくる野盗の数は、どんどん増えて……現在、曹丕様が隊を率いて応戦されておりますが、戦況芳しくなく……」

「分かった、任しとき。お前はコイツを休ませたるんや」

 肩を貸していた兵士に息も絶え絶えの伝令を預け、張遼は詰め所を飛び出した。

 今年で九つになる曹丕は曹操の娘らしく、七つの時から文武において稀有な才能を発揮し、いまや大人顔負けの実力者だ。およそ一対一なら並みの武将と互角以上に渡り合えるほど。加えて最近は兵法の勉強にも励んでおり、その能力の伸びはとどまる事を知らない。

 だが所詮は十に満たない子供に過ぎない。

 姑息な盗賊の群れを前に翻弄されるのは目に見えていた。

(間に合うてくれ!)

 しかし駿馬に跨る張遼が案じているのは曹丕と住民の命だけではない。

(アイツが、アイツが出てくる前に事を片付けんと……)

 路地を曲がり、大通りを駆け抜けて現場へ。

 戦場と化した正門に辿り着いた張遼は、単身野盗を食い止める曹丕の姿を見つけて安堵しつつ、愛用の刀を抜き放った。

「生きとるな、お嬢!」

「やっと来たわね、文遠! 此処を片付けて街中に散らばった残りをひっとらえるわよ!」

「ホンマ親譲りの気性やなぁ……ほな仰せのままに!」

 両手にそれぞれ握った鎖鎌を構える曹丕と共に張遼が跳んだ。瞬く間に賊は叩きのめされ、遅れて駆けつけてきた警備隊の増援によって捕縛されていく。

 現場を増援の指揮をとる李典に任せ、曹丕は張遼を連れて走り出した。

「どっち行ったん!?」

「奴らは門に私を引き付け、残りを二手に分けて左右の路地へ放った。両方とも楽進隊に追わせているから、私たちが後方から援護を」

「なるほどなぁ……」

 説明を受けて張遼が頷く。恐らく自分でも同じように判断しただろう。

 数分もしないうちに二人は人ごみにぶつかった。どうやら賊が警備隊と衝突したようだ。人の垣根の隙間から状況を伺うと、最初十人以上いた賊はざっくばらんに倒されて最後の一人。そしてその一人が年端も行かぬ子供を人質にして警備隊とにらみ合っている。

 しかし最大の問題は、その場に彼がいたことだ。

 魏が誇る武将の一人。

 先の戦乱を治めた英雄、天一刀その人である。

「っちゃあ……」

「父様……?」

 しくじった、と苦渋の表情を浮かべる張遼の隣で、曹丕は場の空気の異様さを感じ取っていた。

 普段の父は細かいことに口煩くも優しい人物で、娘である曹丕の頼み事ならば大抵の事は叶えてくれた。その優しさは城の将兵はもとより民たちにも同じで、さらには『覇王の懐刀』と呼ばれるほどの実力者。

 その理想の父が賊を前にして何故……頬を歪ませるほど喜んでいるのだろうか。

 賊もその異様さに気付いたのだろう。尻餅をつき、人質を放り出して必死に命乞いを始めたのだ。「頼む、助けてくれ」と何度も地に額をこすりつけて懇願する賊の眼前で、

 

 

 

 父は、異形へとその姿を変えた。

 

 

 

 全身を覆い尽くす紅蓮の装甲。

 顔を包む仮面の眼は鮮やかな緑。

 握り、振り上げるは最早見慣れた父の戦斧。

 肩を上下させて息を吐くその様はまさしく野獣。

 

 

 それが果たして父か確かめる前に、曹丕の視界を光が覆い尽くした。

 

 

 

 

 

 

 大地震とも思えるような揺れが城を襲い、調度品がけたたましい音を立てて倒れる。侍女たちが慌て逃げ惑う中で曹操だけが窓の外を見つめていた。

 甲高いうなり声を上げて空高く立ち上る緑の雷光。

「華琳様、ご無事ですか!?」

 駆けつけてきた兵士の声に振り返ろうともしない。

 都から轟く雷鳴が、曹操には終末を告げる鐘の音に聞こえていた。

「もう、終わりなのね……」

 あれから十年。

 天一刀はよく持ちこたえたものだと曹操は思う。

 双戦斧の力を引き出す代償として、毎夜想像を絶する激痛と狂気に苛まれていた。それを妻の為、娘の為、仲間の為、国の為、と周囲にはひた隠しにして平然と振舞っていたのだ。

 しかしそれも、ここ半年ほどで綻び始めていた。

 罪人とはいえ意味もなく繰り返される処刑に、あえて単身で賊討伐に赴くなど……『悪を倒す』ことへ異様に固執し出した。使命感や義憤を超えた彼の欲望は暴走を始め、ついには無罪の役人を贈収賄の罪に問い、処刑してしまったのである(原因は出納長の記載の誤り)。

 これを受けて曹操は休暇と称して天一刀を一切の政務から外していたのだが、どうやらそんなことでは彼の行動を抑制することは出来なかったようだ。

 いや、そもそも

「春蘭、秋蘭」

「ここに」

 すっ、と脇に立っていた夏侯惇と夏侯淵が前に進み出た。

 曹操は自分の戦支度を寵愛する将軍たちに命じ、再び思慮に没頭する。

 去来するのは愛する夫と過ごした日々だ。夫の仕立てた服を娘と着て、町を御忍びで歩き回ったこともある。娘が始めて作って失敗した料理を夫婦で無理して食べて、一週間生死をさまよったりもした。

 荀ケたちがやりくりして作ってくれた休暇を利用して家族三人で温泉に行った。土産を買い忘れて部下たちから不評を買ってしまった。

 年の一度の武道大会にこっそり出場した曹丕が、一回戦で夏侯惇にあっさり完敗して大泣きしてしまった。あの時の夏侯惇の慌てふためき様は忘れられない。

 他にもあれやこれや……悲しい記憶、楽しい記憶が山のように積み重なっている。

 

 それも、今日までだ。

 

「――――――華琳様」

 はめた手甲の上に落ちた雫に気付いて夏侯惇が声をかけた。

 知らず知らずのうちに泣いてしまっていたのだろう。曹操はまだ濡れている目尻を指で拭って「心配ない」と首を振って応えた。

 鎧を着込み、武器を携えて準備は整った。

 

 もう往かねばならぬ。

 もう始めねばならぬ。

 もう終わらせねばならぬ。

 築き上げた理想を、胡蝶の夢を。

 

 部屋を出る、その前に一度だけ曹操は振り返った。

 

「春蘭、秋蘭。」

 

 出来るだけ、出来るだけ優しく微笑んで。

 

「今日の今までありがとう。さようなら」

 

 行き先は唯一つ、あの男のいる場所だ。

 突如として顕現した天の怒りに町民たちは我先に逃げ出し、現場となった大通りは閑散としていた。逆鱗に触れた哀れな野盗はその刃を受け、やはり塵一つとして残っていない。そしてそれに巻き込まれた住民が百余り、いずれも消炭となっていた。

 そんな地獄の底のような世界で、唯一つ蠢く影がある。

 肩で荒く息をする、紅蓮の異形―――――天一刀。

 そして身じろぎ一つしない彼の前に進み出る影が一つ。

「変わり果てたわね、カズト」

 大鎌を携えた覇王の言葉に、天一刀が無機質な仮面を彼女に向けた。

「待っていたのでしょう? 私を、裁かれるその時を、ずっと――――――」

 俯いたまま曹操は喉を詰まらせながらも言葉をつむぎ続ける。

「貴方と、曹丕と、過ごした日々は私の生きてきた中で忘れられないほど幸せだった。とても穏やかで、優しくて、温かい十年間だった……!」

 もはやその声も彼に届いているかどうか。

 それでも言わねばならなかった。

 言わずにはいられなかった。

「貴方は私が本当に欲しかったものをくれたわ。カズト、ありがとう。だからもう、この夢は終わりにしましょう……胡蝶の夢を!」

 大鎌を振り上げた覇王の全身から闘気が炎となって噴き上げ、巨大な翼を創り上げた。轟々と吹き荒れる力の渦が天一刀の全身を圧迫し、彼もまた全身に緑の雷光を纏わせて背から一対の翼を伸ばす。

 両者は身構え、

 同時に踏み出し、

 一呼吸のうちに天空へ駆け昇る。

「はあああああああああああああっ!!!」

「グガアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 炎と雷、鎌と斧が火花を散らしてぶつかり合い、その度に鋼を引き裂いたような悲鳴が都中に木霊して最後の闘いを皆に報せた。

 そこには信念も美徳も理想も無い、ただ命で命を削る凄惨な殺し合いのみ。

 

 

 

 

 

 聞こえる。

 

 鉄と骨の軋む音。

 

 悲しみに満ちた絶叫。

 

 尽き果てぬ戦いの狂想曲だ。

 

「ん……文遠、ここは」

 自分の少し前で胡坐をかき、じっと空を見つめる張遼を見つけて曹丕は声をかけた。次に地面に横たわっている自分に気付き、どうやらどこかで気を失って眠っていたらしいことを理解する。

 では、自分はどこで――――――

「お父様は!?」

 そして思い出す。

 人ならぬモノへ変じた父の姿を。

 問いに答えるように張遼が空の一点を指差し、それに倣って曹丕もまた視線を向けた。

「え?」

 見える。

 二つの紅が空を駆け巡り、幾度もぶつかり合って互いに相手を潰そうと唸りを上げている。演武でも演習でも無い、紛れも無いコロシアイ。

 片方は母で、もう片方は紅蓮の異形……そして異形の割れた仮面から覗く顔は紛れも無く父だった。

「なん、で……なんでよ文遠!? 何故、私の父と母が殺しあわねばならないの!?」

 悲鳴に近い少女の問いに張遼はその視線を上空の二人へ向けたまま、応えるでもなく呟いた。

「せやなぁ、なんでやろなぁ。ホンマはただ護りたかっただけやのに、どうしてこうまで狂ってもうたんや……知っとるか、お嬢? 昔のカズトはなぁ、剣もろくに使えんような奴で、むしろ妙に頭が冴えとって、文官みたいなことしとった」

 思えば不思議な男である。

 警備隊の隊長も兼任していたが、荒事の大半は三羽烏に任せていた。その立ち回りは武人というよりも策士。自身と部下の能力を見極め、適材適所を考え、結果を出す。実際のところ都の治安向上にだいぶ貢献していた。

 しかし、心のどこかでは『護られている』構図に不満を抱いていたのかもしれない。

 天一刀になる前でも、ホンゴウカズトが自ら棍を持って警備隊の陣頭指揮を執ることはしばしばあった。それも大捕り物になれば夏侯惇や張遼、三羽烏が助太刀して事無きを得るのが常で、彼の独力で逼迫した事態を治めた事は多くなかった。

 かつて曹操が蜀軍の呂布、趙雲らに包囲された時、救出のためとはいえ彼が単身飛び出していったのもそういった心理の裏返しだったのかもしれない。

 

 

 愛する者を、この手で護りたい。

 

 後ろから見守るだけではなく、

 影から支えるだけではなく、

 この腕で、この脚で、この体で、己の全てを賭して護りたい。

 

 これこそが曹操も見抜けなかったホンゴウカズトの野心である。

 そしてカズトは己の願いを叶えるだけの力を携えて帰ってきた。

 少年は様々なものを代償にして夢を叶えた。今や英雄と褒め称えられる彼の名を知らぬ者は居ない。妻と子を得て、住まう国は天下泰平。得られるものは全て得た。何物にも代え難い幸福だ。

 彼が狂う理由など何も無いはずで、しかし彼の心は確かに狂気に蝕まれていた。

「お嬢も知っとるやろ。カズトはな……優しい男や。虫の一匹はともかく、本当は人殺しなんか出来る奴やない。ウチらと違うて、罪人に『罪を犯さなければ生きられない境遇が可哀相だ』なんて言うんや。盗人一族皆殺しなんて逆立ちしたって出来ん」

「…………」

「それが『邪魔モンは全部ブッ潰して生きていく』ような時代で、マトモで居れるか……居れるわけあれへん。せやからカズトは狂った。少しずつ、少しずつ、いつの間にか狂っていく自分を自分じゃもう止められへん。誰かに殺してもらわな、ならんのや!」

「それが、母様?」

「せや。『カズトにそう望んだのは私だから』ってな、あん大将は……ウチらも同じやのに一人で背負い込むんや!」

 そんな馬鹿な、と曹丕は否定できなかった。

 曹丕は頭の良い娘で、優しく聡い。目の前で泣いている神速の武神が、自分よりも、父と長い付き合いを持っていて互いに深い絆で結ばれていることを知っていた。

 惚れた男の末期を悟って泣く女に、どうして声が掛けられよう。

 耳に届くのは、空に響く鋼の悲鳴だけだ。

 それもやがて終わり、飛び回っていた二つの影が互いにもつれ合いながら森へ落ちていく。

 張遼も曹丕も、都の何処かで見ている他の将たちも、戦いとも呼べない戦いを見届けるべく走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 あたまが、いたい。

 めのまえが、まっかだ。

 おちたときにどこかぶつけたのかな。

 

(戦え)

 

 そうだ。まだテキをたおしてない。

 ぶきはみぎてでもっている。

 はやくとどめをささなくちゃ、かりんとみんながあぶない。

 

(もっと戦え)

 

 テキはどこだろう。

 よくまわりをみてみよう。

 きっとどこかにかくれているんだ。

 

(もっと、もっともっと―――――――

 

「もう終わりよ、カズト」

 

 かりん?

 でも、まだテキがいるんだ。

 

「大丈夫。貴方が全部倒してくれたわ。ありがとう」

 

 そっか。

 よかった。

 

「だから今日はゆっくり休みなさい。明日は曹丕と出掛けるんでしょう?」

 

 うん、そうだった。

 ひがのぼるまえにおきないと、おこられるからな。

 きょうははやくねなくちゃ。

 

「おやすみなさい、カズト」

 

 おやすみ、かりん。

 ああ、あたたかいな。

 

 

 

 

 

 

 二人の落ちた場所へ最初に駆けつけたのは曹丕だった。

 そこは森の中で小さく開けた広場のようで、真ん中に小さな池が一つ。静けさがしん、と鳴るようなそのほとりで草花に抱かれるように眠る人影が一つ。

そして眠る人の腕に抱かれる首が一つ。

 

 覇王の手で此処に断罪は成された。

 咎人は罪諸共にその首を断たれ、愛する女の手に還った。

 

 年端も往かぬ少女の胸を悲しみが満たしていく。

「何よ、二人して幸せそうに笑っちゃって」

 毒づいてみても声が震えて強がりにさえならない。

 もう見ていられなかった。

 そうするしかなかったといえ、こんな終わり方があるだろうか。

 

 

 

 

 カズトの首を抱いて眠る華琳。

 二人の穏やかな寝顔を映す双戦斧は、まるで墓標だ。

 

 

 

 

かくて曹孟徳、碧愛の泉に眠らん。

後の世に願わくば、王の安らかなるを乱すべからず。

其はまた、天より賜りし命なるを忘れるべからず。

 

 

―孟徳秘龍伝―

 

 


あとがき

 

夏侯惇「これが貴様のやりたかったことか、ゆきっぷう!」

 

ゆきっぷう「Yes, so that! HaHaHaHaHa……」

 

夏侯惇「成敗!」

 

ゆきっぷう「がふっっ!?」(コアメダルの割れる音)

 

 

孫権「えーと、つまりどういうこと?」

 

孫策「世のため人のため戦ってきた天一刀は、やがて血と殺戮の快楽に魅せられて暴走を始め、曹操が刺し違える形で終止符を打ったってとこね」

 

ゆきっぷう「正確には『力を振るう行為そのものに快楽を覚えて』かな」

 

関羽「なるほどな……って貴様!?」

 

ゆきっぷう「ほら、カズトって初陣でゲロ吐くぐらい弱かったでしょ?」

 

夏侯惇「まあな」

 

ゆきっぷう「そんな心の脆弱な奴が人を殺したらどうなると思う?」

 

夏侯淵「潰れるか、人格が豹変するかもしれん」

 

ゆきっぷう「とどのつまり、社会的に適合できないんだよ。為政者としてはバッチリ天職だったホンゴウカズトだけど、殺してなんぼの武将というか兵士としては果てしなく適正無しです。そこは原作でも描写がたくさんあるしね」

 

張遼「そらそうやな」

 

ゆきっぷう「正義の仮面ヒーローに変身しようとしても、ベルトがエラー起こして変身失敗するのがオチさ。ホンゴウカズトはどう足掻いてもホンゴウカズトとして戦士にはなれない。けど、それでも戦士の道を歩もうというのなら……」

 

曹操(魔)「修羅の道しかないわけね。私と同じように外法を以って外道に堕ちるしかない。生身の癖にオープンゲットするとか」

 

天一刀「俺、主人公なのにそんな本末転倒な話があるか! 第一、オープンゲットもパワーアップ案が出ないゆきっぷうが苦し紛れで……」

 

ゆきっぷう「原作のお前が華琳様に限らず誰か一筋で他のヒロインに眼もくれないってんなら、こんなシナリオは生まれなかっただろうよ」

 

鳴滝「おのれホンゴウカズト、乙女心の破壊者!」

 

ゆきっぷう「↑みたいな標語が生まれるぐらい浮気ばっかりしてるからこうなるんだ」

 

天一刀「いや、無印恋姫なら最後は個別エンドだし!」

 

ゆきっぷう「真になって堕落したというわけか」

 

天一刀「うぎゃー! 墓穴掘ったー!?」

 

KH51(コイヒメフィフティーンワン)『カーズートー(さーん)!?』(ジト目の視線含む)

 

天一刀「へ、ヘルプミー!?」

 

 

 

 

ゆきっぷう「というわけで真(チェンジ!)恋姫無双 ―孟徳秘龍伝―は完結となりました。いかがだったでしょうか」

 

全員『真ドラゴン、いらなくね?』

 

ゆきっぷう「…………いや、あれないと物語成立しないから」

 

タハ乱暴「やーいゆきっぷう、出演キャラにまで言われてやんの! ほら、俺が最初に言った通りになった。だから、俺は言ったろ? この作品の構想段階で。真ドラゴン、いらなくね? ってよ」

 

周泰「まだジョニーさんのほうがいいです!」

 

じょにー「そうだぞゆきっぷう! っつか、最終話に俺出すから、タハ乱暴に使用許可求めてたよな、タハ乱暴に!? あの話、いったいどうなったんだよ!? ってか、デ・バ・ン・ヨコセヤッ・コ〜ラ!」(タトバのリズムで)

 

ゆきっぷう「だから今こうして出番あるじゃないか」

 

じょにー「おお! なるほど! って、あとがきじゃねぇか!? ちゃんとした、本編に! そう、ちゃんとした本編に! ……大事なことだから二回言った、ぞ――――――あれ?」

 

アイリス「――――――――――」(死んだ魚のような眼)

 

ゆきっぷう「タハ乱暴ファミリーにおいて、あとがきにさえ出られないメンバーは全体の七十パーセント以上という統計がある。こうして文面に出てこれるだけ良しとしておけ。あと、もし本編に出てたら俺はタハ乱暴に土下座しなきゃならんかったし」

 

夢王柳也「そうなのか?」

 

ゆきっぷう「もし仮に、ジョニーを最終話に登場させた場合……かませ犬的なポジションで天一刀に瞬殺されて出番終了。登場時間僅か数行という、作家としてなんとも失礼な事をしなきゃならんかった」

 

タハ乱暴「ああ、そりゃ失礼だわ……作家として、他人様のキャラを使ってそれっていうのは……」

 

某蜂蜜好きの人「じゃったら! こちらに出番を――――――」

 

じょにー「おおう! 突然、幕下から見知らぬお嬢さんが!」

 

瓜大王「おーらふぉとんれいー」(怪光線でなかったことに)

 

 

ちゅどむ

 

 

タハ乱暴「あら、なかったことにされちゃった」

 

周泰「……蓮華さま、いまの娘、誰でしたっけ?」

 

孫権「ううん……わたしも、どこかで見た覚えがあるんだけど……」

 

焼け焦げた何か「なぁ!? そ、孫呉の者どもは覚えておらねばならぬじゃろ!? ……ううう、本編に出れなかっただけでこの扱いとは……」

 

周瑜「本題に戻ろう。ともかくこの最後の展開の意図は、そもそも一体なんだったのだ? タハ乱暴殿はご存知か?」

 

タハ乱暴「まぁ、知っていたけど、さ……そもそも、いつかのあとがきで語っていたと思うんだけど。ゆきっぷうがチェン恋を書こう、って思った発端は、真・恋姫無双のタイトルロゴの龍を見て、『こいつは真ドラゴンだ。そうに違いない。いや、そうでなかったとしたら、俺がそうしてみせる!』的な発想をしちまったのが、始まりなんだけどさ。もう一つ、理由があったわけだよ。それが、『ホンゴウカズトを抹殺せよ! 無残に抹殺せよ! 血も凍るようなやり口で抹殺せよ!』っていう、天からの指示を受けたからなんだ」

 

周瑜「天からの指示?」

 

じょにー「要するに、神が降りてきたわけだ。……補足説明すると、真・恋姫無双で最初に魏ルートをプレイしたゆきっぷうが、まず抱いた感想が、『おのれホンゴウカズトォォォォォォ!』だった。あれだけさんざんおなごに手を出して、その上責任も取らず、はい、さようなら……的な展開に怒りを覚えたゆきっぷうは、勝手に、ホンゴウカズトを制裁せねば、という使命感に燃えた」

 

タハ乱暴「つまりこの作品は、ゆきっぷうの真ドラゴンを書きたい、って欲求と、ホンゴウカズトを抹殺しなければ、という義務感から書かれた物語だったわけだよ」

 

ゆきっぷう「その為に俺はホンゴウカズトを『無理矢理』武将に仕立て上げ、『無茶苦茶』な作戦に従事させ、その心理的崩壊と暴走を誘い、ついにその終末へと導くことに成功した!」

 

天一刀「…………」

 

周瑜「なるほど。つまり、チェンジ・恋姫無双一年半の連載は、すべて今回の話のためにあった、と?」

 

タハ乱暴「そうなるな」

 

劉備「……あれ? それじゃ、カズマさんたちはなんで登場したんですか? 仮面ライダーのみなさんは、最終回にまったく絡んでないけど」

 

ゆきっぷう「脚本上の問題だ、気にするな」

 

じょにー「これまた補足説明するとだ。仮面ライダー勢の参加は、そもそもゆきっぷうとタハ乱暴の遊びだったんだ。『ディケイドのユウスケと愛紗って、なんかいい感じのコンビじゃね?』と、タハ乱暴が口にしたのが始まりだった。それが、どんどん話が膨らんでいって、ああなったわけだ。……真ドラゴンに対抗するために、恋姫勢にテコ入れをせねば、という理由もあったしな。あくまで、仮面ライダー勢は対ドラゴン要員なわけだ」

 

ゆきっぷう「その上で最終回の方向性というか性質上、正義の味方に出てこられたら困るって言うのもある。結局、カズトと華琳の欲望の行き着いた結果でしかないからなぁ」

 

タハ乱暴「オーズだったらよかったのにな?」

 

陳宮「連載開始当時、オーズはまだ放映してなかったのです」

 

呂布「……ちんきゅ、おうず、なに?」

 

陳宮「ねねたちと同じ仮面の戦士なのです。人間の持つ、欲望の力の結晶を使って戦いました」

 

呂布「ちんきゅ、くわしい」

 

陳宮「ねねも仮面の戦士ですから!」(エッヘン、とささやかな胸を張り……ぶふぼぉっ!)

 

じょにー「ああ! 状況描写をしていたタハ乱暴がぶっ飛ばされた!」

 

ア○ク「まあ、オファーが来ても断るがな!」

 

ゆきっぷう「ともかく! 今回の話はホンゴウカズトの浮気性に対する、俺の怒りというか、意見というか、欲望を作品執筆にぶつけた結果なのさ」

 

じょにー「なるほどねぇ……んでさ、肝心なところ、一つ訊きたいんだが」

 

ゆきっぷう「俺に質問するな!」(=質問どうぞ)

 

じょにー「ラストってさぁ、結局、曹操死んだの?」

 

ゆきっぷう「死んだね。『曹孟徳、碧愛の泉に眠らん』って書いたじゃんか」

 

じょにー「いやさ、あれだけだと、あの場で死んだのか、あの一戦の後も生き続けて天寿をまっとうしたのか、曖昧だったからさ」

 

タハ乱暴「曖昧にすることで、美しく終わろう、という魂胆かもしれないぞ?」

 

じょにー「いや、そういう、物語の完成度的なことは、良いんだよ。……ただ……」

 

ゆきっぷう「ただ?」

 

じょにー「ゆきっぷうの背後にいる、夏侯姉妹が、ものごっつ恐ろしい形相で睨んでいるから、さ……はっきりさせとかにゃ、えらいことになるかな、って」

 

ゆきっぷう「じょにぃ?」

 

じょにー「んう?」

 

ゆきっぷう「世の中にはな、曖昧なままにしておくべきこともある。例えば、今回のお前の質問がそれだ」

 

じょにー「ほう」

 

ゆきっぷう「余計なことしやがってこの野ロブバギャハアッ!?」(真っ二つ)

 

 

タハ乱暴「まぁ、結局、長々と、かつダラダラとこのあとがきも書いてきたわけだけど、言いたいことは、二つしかない。キャラのみんな、長い間、お疲れ様でしたー! そして読者の皆様、読んでくれてありがとう!」

 

天一刀「それ、お前が言うことじゃないよな!?」

 

タハ乱暴「いや、代理でな。ほら、筆者本人はあんな感じだし」

 

ゆきっぷう「ぐおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」(拷問中)

 

天一刀「それもそうだな。それでは皆さん、またどこかでお会いしましょう!」

 

瓜大王「まぁ、お前は死んだけどな」

 

天一刀「のばはあ!!」

 

諸葛亮「……そういえば結局、瓜大王さんって何者だったんでしょう?」

 

じょにー「それはな、朱里、永遠の謎に包まれているのさ!」(キリッ)

 

諸葛亮「はわわ!」

 

じょにー「ん? どうした朱里? そんな怯えた表情で俺を見て」

 

シュリリン「あの〜、ご主人様?」

 

じょにー「……あれ? こっちにも朱里!?」

 

シュリリン「あちらのわたしは、チェン恋世界のわたしですよー」

 

諸葛亮「と、桃香さまぁ〜〜!! い、いま、あの人がわたしの真名を……」

 

劉備「大丈夫! 用心棒さんを呼んでもらったから!」

 

大樹「行き給え!」

 

Kamen Ride…OOO!】

 

オーズ「そんな汚い欲望は表に出しちゃいけないんだ!」

 

串田アキラvo【スキャニング・チャージ!】

 

じょにー「ぎゃああああああ!!! オーズ、完結おめでとう! ついでにチェン恋も完結おめでとう! フォーゼも期待しているぜ! そしてゆきっぷうの次回作にも乞うご期待!」

 

タハ乱暴「こう、ご期待って、漢字に変換するといやらしさが増すなぁ」

 

瓜大王「まぁ、乞う、だしな。……さてタハ乱暴」

 

タハ乱暴「んう?」

 

瓜大王「俺は次回作への出演の準備で忙しいんだ。そろそろ、失礼させてもらうぞ」

 

タハ乱暴「そっか。じゃあな〜……ってわけでゆきっぷう、告知、やっとく?」

 

ゆきっぷう「はぁ、はぁ……おう、プトティラのメダルも取り込んだしな!」

 

タハ蘭母卯「さぁて、次回の予告は〜?」(オカマ風に)

 

 

 

 

惑星アビスフィア衛星軌道上に出現した超巨大次元転移門『クロノゲート』は、トランスバールに未知の技術と新天地の可能性をもたらした。

 

「そうさ。そしてアンタの力が必要になったのさ。カズヤ……カズヤ・シラナミ」

 

言いかけたカズヤにフォルテが一冊の分厚いバインダーを差し出した。綴じられていたのはEMの設計図。それも全てのページに『NOT OUT』の印が押され、ほぼ全ての記載が真っ黒に塗りつぶされていた。分かるのは機体全体のシルエットぐらいだ。

 

 

「アンタにはEM(エンブレム・モジュール)のパイロットになってもらう」

 

地上から宇宙へ、宇宙から地上へと行われる人と物の往来が何事もなく始まり、終わることこそが老獪な司令官の願う平和だった。

 

「私はその頃、ちょうどこの基地の司令官として着任したばかりでね。私は上層部からの命令どおり、あらゆるものを前線へ送り出した。兵器、弾薬、そして多くの若者をだ。何より質が悪いのは、当時の私は愚かにもそれを正しいことだと信じていた」

 

それは紡がれぬはずの未来。

行き先の無かった命の行方。

再び天使が戦乱を銀河に呼び込む。

 

「行かなくちゃ……私が、作らなくては……ふふっ……新しい時代を―――――」

 

 

 

ゆきっぷう「次回! 第二次銀河天使大戦、第一話! いつになるか鋭意執筆中!」

 

タハ乱暴「ついにあの作品の続編が登場するぞ!」

 

天一刀「そして俺も大活躍!」

 

全員『いやいや、出ないから』

 

野上小蓮「まったねー!」

 

 

 

 

 

 

モモタロス「野上、だと……!?」




まずは完結おめでとうございます。
美姫 「ございます。そして、投稿ありがとうございます」
まさかのラストシーン。
美姫 「ほんわかで終わるかと思ったけれどね」
それでも綺麗に纏められているのは凄いな。
美姫 「本当にね」
うんうん。本当に執筆お疲れ様でした。
美姫 「お疲れ様です」
それでは、次回作にも期待しつつ。
美姫 「ありがとうございました」



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