『魔法少女リリカルなのは外伝・仮面ライダーXs 日常編』




日常編その3  『きょうのわんこ』


高町家のお昼、縁側でまったりしている恭也は塀の外に小さな気配を感じる。

「ん?」

その方向を見やると塀の上に小さな影が飛び乗る。

「わんっ!」

かわいらしい声で鳴いたのは茶色い毛並みの愛らしい子犬、子犬フォームのアルフだった。

「やっほ〜恭也〜!」

アルフはとててっと恭也の前まで来ると人型に変身する。

「こんちわっ」

「ああ、こんにちわ。今日は一人か?」

「うん、フェイトはなのは達と遊びに行ったしザフィーラと散歩行こうかと思ったんだけどアースラに用事あるんだってさ」

ちょっとションボリした様子で呟くアルフ。

「ふむ、それじゃあ俺と散歩にでも行くか?」

「え!?いいのかい?」

「ああ、今日はみんな出払っててな、丁度暇なんだ」

ぱあっと嬉しそうな顔になったアルフに軽く苦笑しつつも微笑んで答える恭也。

「あっ、でもリード持ってきてない……」

再びションボリとなるアルフだったが、

「なら人の姿のままで行こう、耳としっぽは隠せるんだろ?」

「え?まぁ不可視にはできるけど……」

「じゃあ問題無いさ、アルフは昼食はもうすましたか?」

「まだだけど……」

「俺もまだなんだ、散歩ついでに食事でもしよう」

「ええっ!?」

アルフの顔がいきなり真赤に染まる。

「む?都合が悪かったか?」

「いや、その、それって……デ、デート……なんじゃ……」

「ん?よく聞こえなかったんだが」

「な、なんでもない!さぁ行こっ!」

アルフは真赤なまま恭也の手を掴み歩き出す。

「お、おい!?」

そのまま家の外に出るが、恭也に止められてその手をしっかり握り締めていることに気づき、
さらに真赤になって固まってしまう。

「準備してくるから少し待っててくれ」

「あ……うん……」

恭也が行ってから真赤になったまま玄関の前で悶えるアルフ。

(うあ〜!デートと思ったくらいでテンパるなよあたし〜!)

しばらくして恭也が戻ってくる。

「待たせたな」

「い、いや、待ってないよ」

「そうか」

恭也は軽く微笑むとアルフと連れ立って歩き出す。

「まずは何か食べるか」

「う、うん、そだね」

(はぁ……いくら一見デートに見えるとは言え相手は鈍感が服着てるような恭也なんだし、
 あたしも気にしすぎだよなぁ……)

などとアルフが失礼な事を考えている間に店へ着く。
みんなが知ってる全国チェーンのファーストフード店である。

「なににしよっかな〜」

「このあたりと組み合わせるとバランス良いぞ」

「へぇ〜そうなんだ」

二人して仲良く相談しながらメニューを決めていく。
ちょっと寄り添うように相談している様子を周りの人々に微笑ましい気持ちで見られている事に気づかない二人。
なにはともあれ注文を済ませ席につき食べ始める。

「うま〜♪」

フェイトと同じ歳に見えるくらい幼い雰囲気で至福の笑みを浮かべるアルフ。
それを見て恭也は軽く笑ってしまう。

「んに?」

「いや、随分幸せそうに食べるなと思ってな」

「んっ!むぐむぐ……んっくん……いや〜普段外出るときって獣形態で散歩が多いからさぁ。
 あんましこういうの食べる機会って無かったりするんだよ〜」

照れた顔で縮こまって弁明するがそれがまた微笑ましかったりする。

「おいしく食べられるのは良い事さ、可愛い顔して食べるからこっちも楽しいしな」

「か、かわっ!?」

「ん?」

不意打ちの台詞にまたもテンパるアルフ。当然の如く恭也は理由に気づかない。

(いきなりこういう事言うから油断なんないなぁ……)

「??」

ため息つきつつ恭也を見るアルフだったが相変わらずの反応であった。
食事を済ませてそのあたりをぶらぶらする二人。

「ん〜っ!いい天気〜、日差しがきもちいい〜♪」

日光を全身に浴び、気持ちよさそうに伸びをするアルフ。

「確かに良い天気だな」

恭也も同じく伸びをする。

「ところでさ……」

「ん?」

「全身真っ黒で熱くない?日光物凄く吸収してる気が……」

「むぅ、もうコレで慣れてしまってるからなぁ。気にした事は無いが」

自分の姿を見やる恭也、確かにその姿は全身黒尽くめである。

「フェイトも黒い服覆いから夏場は見てる方が暑いんだよねぇ」

「む、すまんな」

「そんな謝られても困るけど……
 もちょっと明るめの服とか着ないの?」

「どうも明るい色の服は合わん気がしてなぁ、やはり黒や深い色が落ち着くんだ」

「ふ〜ん」

そんなことを話しつつ歩いているうち3時間ほどが経ち、再び高町家の前に戻ってくる。

「ふぅ、結構歩いちゃったね」

「ああ、地味に運動になったな」

家に入るとまだ誰も帰ってきていないようだった。

「皆はまだか」

そういいつつ恭也が縁側に腰掛けると、ポンッと子犬フォームに変身したアルフが膝の上に乗ってくる。
恭也はそれを咎める事も無く、優しく子犬アルフの頭を撫でる。

「ん〜、恭也の膝の上はすわりがいいねぇ」

すこしもぞもぞしてポジションを整えると丸くなってくつろぎモードになる。

「くぁ〜……ふぅ」

気持ちよさそうに撫でられていると大きなあくびが一つ。

「ん?眠いのか?」

「あ、あはは、日差しがぽかぽかで眠くなっちゃった」

照れた様子で膝の上から恭也を見上げる。

「寝てもかまわんぞ?この陽気だ、仕方ない」

「んじゃお言葉にあまえて……すぅ……」

あっという間に寝入ってしまうアルフ。

「寝顔は可愛いものだな」

「んんっ……ん〜〜っ……ぷぅ」

撫でられるとぴくぴくっとして伸びる。

「ふふっ、まるっきり子犬だな……ふあぁ〜っ」

アルフを撫でていると恭也も大きなあくびを一つ。

「む、眠気がうつったかな?」

そう呟くとアルフを起こさないように抱きかかえ寄り添うように恭也も横になる。

「俺も一眠り……すぅ……」

二人(一人と一匹?)は寄り添って眠りについた。


暫しの時が経って帰ってきたなのはとフェイト、そしてはやてが見た物は……
抱き合って眠る恭也とアルフ(人型)の姿だった。

「「な、な……」」

「「なんじゃこりゃ〜〜!!」」

「いいなぁ〜おひるねきもちよさそ〜」

絶叫するフェイトとはやて、なのははなんだかズレた事を言っている。

「なっ、なんだ!?……むっ?」

いきなりの絶叫に飛び起きようとする恭也だったがアルフに抱き疲れているために起き上がれない。

「なっ、これは!?」

「恭也さん……これはいったい……」

「どういう事ですか……?」

「いやさっきまでアルフは!」

「ん〜……」

恭也が弁明しかけるとねぼけたアルフが恭也を胸元に抱きかかえる。

「わぷっ!?むぐっ」

「んにゅ〜、ぬくぬく……♪」

丁度恭也の顔がアルフの胸元に埋まるような体勢になる。
寝ぼけたアルフは幸せそうに恭也を抱いているが、恭也はたまったものではない。

「「ああ〜〜〜〜っ!!」」

「んっ、ぷはっ!いや、これは……んむっ!?」

「んっ……んぅ……あぁん……♪」

どうにか脱出しようともがくが再び捕まりもがいてアルフが悩ましい声を上げるという悪循環。

「「恭也さぁ〜ん…………どういう事か説明してくれるんでしょうね!!」」

「いやっ、あの!」

「おにいちゃん、えっち」

なのはの一言がトドメとなり無敵の剣士高町恭也、沈黙。
結局アルフが起きてから二人揃ってに長きに渡る尋問を受けることとなった。

「ごめん……まさか変身が解けるとは……」

「いや、俺も気を抜きすぎてた……」

「二人とも!」

「ちゃんと聞いてるんか!?」

「「は、はい!」」





あとがっき〜

というわけで日常編、今回のターゲットはアルフです。
ちょっとお色気もあり?
相変わらず盛り上がりに欠けますがほのぼのでバトルよりは書きやすかったですよ。
個人的にアルフは姉御肌に見えて純情さんで天然じゃないかとか思ってたりします。
そのへんが出てればいいなぁと。
それではまた次回お会いしましょ〜。



ほのぼの〜。
美姫 「和むわね」
ああ、本当に。
最後の縁側での昼寝は俺も加わりたいぐらいだ。
美姫 「のんびりしてて良いわよね」
うんうん。まあ、二人にとっては最後はちょっとした騒動になったけれど。
美姫 「恭也は役得だと思うけれどね」
まあ、恭也だしな。そう思ったりはできないかもな。
今回の日常編も面白かったです。
美姫 「次回も楽しみにしてますね」
ではでは。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る