『魔法少女リリカルなのは外伝・仮面ライダーXs』





「くぅっ!」

なのはがじわじわと追い詰められていく。
ディバインバスターで何度もコアを露出させるも破壊する前に再生され、
決定打を与えられずにいた。

「くっ・・・このままじゃなのはが・・・」

恭也は悔しさに顔を歪め拳を握り締める。

「・・・忍!」

「・・・」

決意を秘めた恭也の瞳に見据えられわずかに沈黙する忍。

「状況把握がどうのとか言っている場合じゃない・・・出るぞ!」

「そうね・・・ある意味で良い機会かもしれないわ。
 でも、出るからには勝ちなさいよ?」

「言われるまでもない!」

「あともう一つ!」

忍と言葉を交わすと恭也は即座に窓から飛び降りようとするが忍が止める。

「なんだ?」

「ちゃんとあの口上言ってね?」

「そんな事言ってる場合じゃ・・・」

「大事な事よ〜」

微妙に嫌がる恭也にむくれる忍。少し緊張感が薄くなる。

「・・・わかったよ」

「ん、がんばってね」

「ああ!」

ため息をつきつつ頷くと、恭也は今度こそ飛び出して行く。

「え、えっと・・・おねえちゃん?」

それを見てすずかが不思議そうにしているが、

「大丈夫よすずか、恭也には秘密兵器があるしね」

忍はピッと人差し指を立てて自身ありげに返した。

「大丈夫か、なのは!」

「おにいちゃん!?」

駆け寄ってきた恭也を見てなのはは目を見開く。

「ダメだよおにいちゃん!危ないよ!」

「だが一人では勝てそうにないのだろう?」

「うっ・・・で、でも!」

恭也の言葉に一瞬詰まるがそれでも兄を心配する妹として止めなければと思う。

「大丈夫だ、勝算も無しに飛び出してきたわけじゃない」

恭也はなのはを見て微笑む。
結界の外にいるフェイトたちもそれを見て驚いている。

「恭也さん!?」

『恭也さんがいたら勝てそう?』

「どうやろ?確かにむちゃくちゃ強いけど・・・」

「でもあくまで普通の人間としてはだよ。
 普通の魔獣なら何とかなるかもしれないけど、
 あのコアを破壊できるほどの火力は無い筈なんだけど・・・」

「せやけど『勝算はある』って」

『いったいどうやって・・・』

恭也を慕う者として、心配そうな視線をむけるフェイトとはやて。
キメラは新たに現れた敵を警戒して恭也をじっと見つめている。

「きょうや〜!」

そんな中窓から顔をだした忍が叫ぶ。

「変身よ!!」

「心得た!!」

「「「「変身!?」」」」

二人の言葉を聞き、この戦いを見ている者達が驚きの声を上げた。


                  第四話『勇者起つ!仮面ライダーXs変身せよ!!』


恭也は懐から青い宝石が埋め込まれたプレートを取り出す。

「いくぞガディン!」

《Yes Riderbelt Wake up》

宝石が恭也の声に答えると腰に光が収束しベルトが現れる。

「ええ!?インテリジェンスデバイス!?」

「なんで恭也さんが!?」

「それにガディンってまさか!?」

なのは、そして結界の外のフェイトとはやてが驚きで目を見開く。

「Xs・・・」

《Program・・・》

宝石が強く輝きだす。

「変身!!」

恭也はプレートを勢いよくベルトのスロットへと挿入する。

《Drive!!》

ベルトに差し込まれたガディンから光の粒子が溢れ出し恭也を包み込む。
その光が治まると、そこにはあの黒い戦士『仮面ライダーXs』が佇んでいた。

それではその変身プロセスはもう一度見てみよう。
ベルトに挿入されたガディンはベルトのジェネレーターと直結、
ガディンに封入された魔力と恭也自身の魔力を融合させる。
それを光の粒子へと変換し放出、それは恭也の身体に接触すると同時にスーツやアーマーとなり装着され、
各パーツとの回路が繋がれる。
最後に変形武装Xsライザーが腰に装着され仮面ライダーXsへの変身が完了するのである。

「おにいちゃんが・・・」

「恭也さんが・・・」

「「「仮面ライダーXs!?」」」

何度も助けられ、幾度か刃を交えた黒き戦士の正体を知り驚く魔法少女たち。

「この身に宿るは魔導の理(ことわり)・・・」

Xsの身体が淡く輝く。

「この身に纏うは科学の結晶・・・」

各部アーマーが稼動し蒸気が排出される。

「熱い闘志を胸に秘め・・・仮面ライダーXs、

    只    今    参    上    !!」

ビシィ!!とヒーローらしいキメポーズをとりながら名乗りをあげるXs。
それを見てなのはは若干困惑する。

「お、おにいちゃん?」

「言うな、結構恥ずかしいんだ・・・」

そういってすこし俯くが、すぐに気を取り直してキメラと対峙する。

「でもおにいちゃんがXsって一体どういう・・・」

「説明は後だ、まずはコイツを倒す!」

「う、うん!」

二人がキメラに向き直ると律儀に待っていたのか沈黙していたキメラが動き出す。
撃ち出された光弾を二人は左右に散ってかわす。

「Xsソーン!」

Xs呼びかけに応じて手に数本の金属製の針が現れ、それを素早く投げつける。
飛来した針はキメラの身体に深く突き刺さる。

「アクセルシューター!」

《Accel Shooter》

Xsの攻撃に僅かばかり怯んだ隙になのはは高速誘導弾を叩き込む。

「Xsライザー、ブレードモードだ!」

《Blade Mode Set up》

なのはの連続した攻撃で動きが止まっている隙にXsは二本の剣を手にすると、そのまま神速に入る。
モノクロの世界の中、アクセルシューターの隙間を縫いキメラに接近すると、

「はぁぁぁぁぁっ!!」

高速の4連斬、薙旋でその両腕を切り落とす。
しかし即座にキメラは再生してしまう。

「チッ、やはりコアを破壊しなければダメか」

「でもどうやって?」

キメラとの攻防を続けながら二人は作戦を考える。

「なのは、お前がディバインバスターでコアを露出させろ。
 コアは俺がライダーキックで潰す!」

「でも、もしおにいちゃんを巻き込んじゃったら・・・」

「大丈夫だ、なのはならできる!俺を、そして己を信じろ!」

「・・・うん!わかった!」

Xsの言葉を受けなのはは覚悟を決める。

「バインド!!」

なのははキメラの隙を突き素早く拘束して動きを封じる。

「ガディン!ライダーキックフルチャージだ!」

《Yes RiderKick Fullcharge》

Xsの足元に魔法陣が現れ、左右の足に赤と青の光が宿る。

「レイジングハート!」

《All Right Buster Mode》

なのはの呼びかけに答え、レイジングハートは砲撃形態をとる。

《Guide Circle》

「せいっ!」

Xs左足から赤い光弾を打ち出し赤い輪のレールを作り出す。

《Bind》

光弾はキメラに当たると4つの紐になりそれを拘束する。
二重の高速を受けキメラは全く身動きが取れなくなる。

「いくぞなのは!」

「うん!」

「はっ!」

《Divine Buster》

「ディバイィィィィィン・・・バスタァァァァァァァ!!」

Xsが飛び上がると同時にディバインバスターを放つなのは。
その一撃はキメラを貫きコアをむき出しにする。
それと同時に輪は黄色に、

「ライダァァァァァァ・・・」

《Go!》

そして青に、

「キィィィィィィィック!!」

放たれた必殺の一撃は寸分違わずキメラのコアを捕らえ打ち砕く。
コアを失い力尽きたキメラはそのまま崩れ去るように消えた。
それに呼応するかのように浅黒い結界は霧散していく。

「やったぁ!」

難敵を退けた事に思わずガッツポーズをとるなのは。

「なのはぁ!」

「なのはちゃ〜ん!」

そんななのはにフェイトとはやての二人が近寄る。

「フェイトちゃん!はやてちゃん!来てくれてたんだ!?」

「うん、中の様子は見えてたんだけど結界が破れなくて・・・」

「そっかぁ・・・」

二人の会話をよそにはやてはXsをじっと見つめる。

「Xs、いや、恭也さん・・・」

真剣な眼差しでXsを恭也を見つめながら話しかける。

「変身解除」

《Form Off》

スーツが光の粒子に変わり、ガディンへと吸い込まれる。
変身を解きガディンを抜き取ると恭也ははやてへと向き直る。

「恭也さん、うちらについて来てもらえますか?」

「ああ、解った。お互いに色々と聞きたいこともあるだろうしな」

恭也は軽く微笑みながら答える。
それをみてはやての顔がすこし赤くなった。

「そうね、色々聞かなきゃいけないし、説明もいるだろうし。
 私も行くわよ」

そう言って二人のところに忍がくる。

「え?忍さんも?」

「そうよ?だって私がXsの製作者なんだもん。
 それに恭也に細かい説明ができると思う?」

「ええ!?Xsの製作者って事は・・・」

「そう!謎の美少女天才科学者プロフェッサーSとは世を忍ぶ仮の姿、
 その正体は恭也の内縁の妻こと忍ちゃんなのです!」

「誰が内縁の妻だ」

「え〜」

「え〜じゃない」

色々とありすぎて混乱している魔法少女達だが気を取り直して行動に移る。

「ほならアースラに転送しますんでお二人ともこちらに〜」

「ん」

「は〜い」

恭也と忍ははやてに促されて移動する。

「すずかちゃ〜ん、ごめんね〜!」

「ううん、お仕事がんばってね〜!またあそぼ〜!」

なのはは窓から顔を覗かせているすずかに遊べなくなった事を謝罪している。

「ノエル〜!すずかとお留守番お願いね〜!」

「かしこまりました」

手を振りつつ大声で言う忍と対照的に慎ましやかに返事をするノエル。
そんな事をやりつつ集まると足元に大きな魔法陣が展開される。

「いってらっしゃ〜い!」

すずかの大きな声に反応したかのように魔法陣は輝き皆を転送した。




次回予告!!

アースラにやってきた恭也と忍、
思いのほか好意的なアースラの面々と協力体制を取る事になった。
そんな中語られる二人とガディンとの出会い。
Xsは何故生まれたのか、その謎が明かされる!
次回、魔法少女リリカルなのは外伝・仮面ライダーXs第五話
『出会い』に、Program Drive!!





あとがきらしきもの

夜「長いプロローグもそろそろ佳境です」
凛「どゆこと?」
夜「まぁ前フリっちゅうかそんな感じ。まだ物語の導入部だけなのですよ」
凛「んじゃこの先とんでもなく壮大なストーリーが?」
夜「うんにゃ、むしろ短編集」
凛「うにゅ〜???」
夜「もう少しで前フリが終わってそれから短編をわらわらと書いていくつもり」
凛「どんな感じの短編を?」
夜「例えば日常編とか解説編とか新必殺技編とか新兵器編とか、あとIF話とかも」
凛「ふむふむ」
夜「むしろこっちがメインかな。だから設定にでてる皆さんの殆どがまだ出てないと」
凛「なるほど〜、でもかなり特殊な書き方だね?」
夜「そだね〜、言うなれば一人アンソロジーって感じかな。
  壮大な物語の合間に息抜きとして読める
  『ちょっぴり燃えて』『ちょっぴり萌えて』『ちょっぴり笑える』
  そんな箸休め的なお話を書いていこうかな〜と」
凛「つまり明確な終わりは無いと?」
夜「うん、まぁあえて終わりを設定するならネタが尽きた時が終わりかな」
凛「一人じゃすぐネタ尽きるんじゃない?」
夜「まぁ他に書いてくれる人もおらんだろうし、お約束抑えれば20話くらいは稼げるかな〜とか思ったり。
  まぁぼちぼちまったりやりますよ」
凛「前向きなんだか後ろ向きなんだか・・・」
夜「そんじゃまぁこのへんで」
凛「またね〜」



遂に判明したライダーの正体。
美姫 「その正体は…」
まさか、恭也だったなんて!
しかも、忍がプロフェッサーSとだったとは。
美姫 「次回はいよいよガディンとの出会いについてね」
どうして二人がガディンと出会い、何故ライダーXsが生まれたのか。
美姫 「次回も待ってますね〜」
ではでは。



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