遠雷の様な轟音が連なる岩山の遥か向こうから響いてくる。つい一時間前まで頭上に広がっていた掃天には黒雲が立ち込め、吹きすさぶ風は死者の妄念の如し。

 それはまさに嵐の兆候だった。

 ブレーブ・クロックスはバルコニーから戻ると、部屋のソファーに腰掛ける少女の前に立った。煌びやかな服に身を包んだ彼女はいわば自分がここまでたどり着くまでの切り札であり、人質でもあった。

 

「もう一度聞くわ。貴方、何がしたいの?」

 

 クロックスを見上げ、少女は再三繰り返した質問をぶつける。クロックスは今まで気にも留めず受け流してきたのだが、どういう風の吹き回しか、一度息を吐くと何かを思い出したかのように語り始めた。

 

「かつてこの惑星アトムでは一部の権力者が暴利をむさぼり、多くに民衆が圧政に虐げられてきた。貧民は寝屋を失いやがて難民となり、多くの若者が革命を叫んで命を散らした」

「知ってるわ。私もその難民の生まれだもの」

「だがこの光景はアトムに限ったものではない。他の数多くの資源惑星においても同じような惨状が続いている。私はそれが許せなかった。一握りの人間だけでなく、すべての人が等しく平穏に暮らす権利を持っている。誰もが笑い、日々を謳歌する資格があるのだ」

「そうね………私もそう思うわ」

「――――――だが今の皇国は違う。限られた人間、選ばれたとされる者だけが幸福に生き、それ以外はすべて彼らの踏み台にしかならない。だから私は皇国政府を打倒し、新たな世界を創ろうと思った」

「じゃあ、ここは?」

「最初の一歩なのだ、ここは。アトムの民衆は私の考えを理解し、同調してくれた。だからこそアトムの人々のためにもここで退くわけにはいかないのだ、皇国軍を相手に」

「そのためにどれだけの人を殺すの? どれだけの仲間を死なせるの?」

「仕方がない、とは言わん。自分一人だけ助かろうとも思わん。だがこの身が呪われようともこの理想、成し遂げねばならないのだ」

 

 クロックスの眼に迷いはない。それが彼の覚悟の程を物語っていた。

 

「最後にもう一つ。貴方が死んだら、ここは誰が守るの?」

「それは君が一番よく知っているだろう、神代久美」

 

 一筋の稲光とともに、銃撃のような雨が降りはじめた。

 まるでこれから始まる惨劇に流す涙のように。

 

 

銀河天使大戦 The Another

〜破壊と絶望の調停者〜

 

第二章

第四節 破滅を呼ぶ光(後編)

 

 

『トリックマスターの着艦を確認。整備班は直ちに補給作業を開始してください』

 

 エルシオール艦内の動きは慌しく、戻ってきたばかりのミントたちは正直面食らっていた。核弾頭という切り札を持ったブレーブ・クロックスの退去勧告を受けて撤収作業を開始したわけでもないようだ。タイムリミットまであと五時間を切っている。いい加減行動を開始しないと間に合わない。

 

「どういうことでしょうか。ブラマンシュ少尉はご存知ですか?」

「さあ? わたくしたちの司令官は奇抜な発想の持ち主ですので」

「では聞きに行きましょうか」

「ええ、そういたしましょう」

 

 ミントと通弘は並んでにこやかに笑う。しかし二人の後ろではシェイルが何やら困った様子でため息をついていた。正面からではあまりの笑顔で分からないのだが、ミントと通弘から凄まじい殺気が放たれているのだ。もしこの場を蚊が通り過ぎたなら、その瞬間に息絶えるだろう。

 ともかく一行はブリッジを訪れた。不気味な笑顔を浮かべた二人を見たレスターが思わず一歩後ろに下がる。背中に氷柱を押し込められたような感覚に冷や汗が頬を伝った。

 

「ミント・ブラマンシュ、ただいま戻りましたわ」

「何やら慌しいようですが、どうかなさいましたか?」

 

 あくまで丁寧な口調。しかしその端々から理不尽な憤りが噴き出している。

 

(あー、これは手に負えん)

 

 思うや否や、レスターは二人の後ろで傍観に徹しているシェイルに声をかけた。

 

「マンハッタン少尉、これはいったい………?」

「今後の方針について説明を求めているのではないでしょうか、恐らく」

「あ、ああ。そうだな」

 

 古代の超兵器―――――核兵器を敵が保有している以上、この場から速やかに撤収しなければならない。例え問題のミサイルを簡単に迎撃できるとしても、彼らがアトムの主要都市に向けて核を使用する可能性は否めない。

 にもかかわらずタクトは撤退するどころか、エンジェル隊の再出撃の準備を始めさせている。如何に紋章機といえどあの破壊力の前になす術はない。いったい何をするつもりなのだろうか。

 

「これから二時間後、首都制圧作戦を開始する。シャープシューターでギャラクシーとSDT二名をアトム首都中心部へ降下させ、要人を救出しつつ敵戦力を殲滅する」

「相手が核ミサイルを使用する可能性はどうなりますの?」

「いくら奴らとて自分に向かってあんなものを撃とうとは思わんだろう。向こうの目的はあくまでアトムの独立だ。その中心となる自分たちが死んでしまっては元も子もないからな」

「分かりました。ところで……マイヤーズ大佐はどちらに?」

「ん、ああ。あいつなら今、格納庫にいるはずだ。ギャラクシーは重力下での戦闘はこれが初めてらしいからな」

 

 

 ギャラクシーのコックピットの中でタクトは機体の調整の真っ最中だった。アビスフィアで何度か重力下での機動テストはこなしているが、果たして今回うまく動けるかどうか、正直自信がない。

 活動時間は一時間半。フル稼働では十分が限界である。試行錯誤の末にエンジン出力の再設定した結果だが、それでも実戦的とは言い難い。何より致命的なのは主武装であるレーザーライフルが大気圏内では使用できないという点だ。

 レーザーを発射したときの放熱効率が大気圏内では著しく低く、一回の使用でライフル本体が融解しかねないのだ。仮に撃てたところで大気との摩擦でレーザーの威力は半分以下にまで削られてしまう。紋章機ほどの高出力なら問題にならないのだが、出力の低下は小型化の際に避けては通れぬ道なのである。

 頼みの綱は腰の両サイドにマウントされている二本のビームセイバーのみ。レーザービームを一定の長さに保つことによって剣状に形成し、まさしく剣のように振るう近接戦闘用のこの武器は、現状で唯一使用になんら問題のない完成品だった。

 

「大佐、一度こちらへ」

「クレータ班長? 分かった、今行く」

 

 ギャラクシーから降りると下ではクレータとアンス、そしてフォルテが並んで彼を待っていた。三人の背後には艶やかな黒金で造られた何かが転がっている。

 

「こ、これはなんだい?」

「八十ミリ対特殊装甲弾(アンチ・マテリアルバレット)を使用したライフルです。これならば大気圏内でも敵人型兵器に対して十分な威力を発揮できます」

「なるほど……実体弾か。それで、何でフォルテがここに?」

 

 そういえばそうである。次の作戦では出撃しない予定のフォルテだが、それでも緊急時には即時対応できるように待機してもらっているはずだった。少なくとも今の彼女に格納庫でアンスやクレータと一緒にいる理由はないはずなのだ。

 

「ああ。実は前々からあたしのコレクションを武器の設計の参考にしてたのさ。それで問題の品が完成したって言うから様子を見に来たんだよ」

「なるほど。それでクレータ班長、細かい仕様は?」

「はい。単発と三連射の二つのモードを搭載しています。マガジン一つで十発装填でき、機体のテールアーマーに予備のマガジンを二つ携行可能です」

「あとは実戦で慣らすしかないかな。ありがとう、これなら何とかなりそうだよ」

 

 いつもの笑顔で答えるタクト。いくら上空からの支援があるとはいえ、単独での戦闘はこれが初めてだ。だというのにガチガチに緊張しているわけでもなく、むしろ普段となんら変わりない彼の様子を見てフォルテは苦笑をこぼした。

 特に心配する必要もなくて拍子抜けした、だけではない。

 やはり彼は強い人間なのだと、改めて知って安堵したというのもまた事実だった。

 

「それじゃあ、あたしはもう部屋に戻るよ。頑張りな」

「ああ。ありがとう」

 

 いつもながらクールな彼女だが、さりげない気遣いに何度助けてもらっただろうか。ミルフィーやランファたちとは違う、深みのある頼もしさ。それに改めて感謝した。

 ヒールを鳴らして去っていくフォルテの後姿を見送ってからタクトはしばらくクレータたちと詳細な事項を再確認し、時計を見ればもう出撃の一時間前になっていた。

 

「これで確認事項はすべてです」

「そうだな。班長もアンスもいい仕事してくれているよ。俺もがんばらなきゃね」

「そう言ってもらえると光栄です。ではこれで」

 

 クレータたちも格納庫から退出した。出撃体勢に移行する際、この艦首格納庫は完全な真空状態になる。そのため宇宙服を着用していない二人はここから出なければならないのだ。

 タクトが宙を仰いだ。

 まだ排気の警告は出ていない。

 

「マ、マイヤーズ大佐? 少し、よろしいですか」

 

 唐突に声をかけられて、その方へ振り返るとちとせが立っていた。うつむいているせいで髪が顔にかかって表情がうまく読み取れない。

 

「ちとせ、どうしたんだ? もうすぐ出撃じゃないか」

「い、いえ。その……少し、大佐とお話がしたくて」

「少しぐらいなら大丈夫か。それで、話って何?」

 

 時刻を見ながらタクトは頷いた。

 

「その、ですね……この作戦、がんばりましょう!」

「……はい?」

「でででですからっ、前で戦うのは大佐一人じゃないですかっ! 私、上から見ていることしかできませんから………」

 

 ――――――ああ、なるほど。

相変わらず恐縮してしまっているが、ちとせはちとせなりにタクトを励まそうとしているらしい。

 

「ありがとう、ちとせ。励ましてくれて。大丈夫だよ。君だけじゃない、俺の後ろにはみんながいるから。絶対に負けない。でもさ……」

「な、なんでしょう?」

「そろそろ『タクト』って呼んでくれないかな。ミルフィーたちもそうやって呼んでるんだし」

「だ、駄目ですっ! マイヤーズ大佐は上官ですから、ちゃんと敬意を払って――――――――!?」

 

 つい反論する声に力が篭もる。その瞬間、格納庫の中の重力が掻き消えてちとせは宙にふわりと浮き上がった。

 

「え、ええ? えええええええっ!?」

「あ、ほら。掴まって、ちとせ」

「は、はいっ」

 

 伸ばした手をちとせが掴むと、タクトはそのまま床を蹴って自分の体をちとせにぐいっと近づけた。両腕で抱きかかえる格好になりながらバランスをとる。

 

「ちとせ、無重力ってやったことない?」

「そ、そういうわけではないんですけど……」

「いきなりでびっくりしちゃったかな。ん、そろそろ時間だ。出口のほうへ押してあげるから、後はできる?」

「はい。すみません」

「いいって。じゃ、また後で」

 

 タクトに押し出されたちとせの体はゆっくりと出口のほうへ流れていく。彼女が無事に格納庫を出たことを見届けてからタクトはギャラクシーのコックピットへ滑り込んだ。

 一方のちとせも出口にたどり着いてようやく生きた心地でため息をついた。しかし彼女の胸の中はまったく別のことで溢れかえっている。

 

(大佐にだっこされちゃった………)

 

 頬が紅潮して頭が沸騰するようだ。おもわず首を左右に振ってごまかそうとしてみても、傍から見れば恋し恥らう乙女の様。いやはや、彼も罪な男である。

 だがそれも一瞬で凍りついた。誰かの視線を感じてふと我に返ると、自分の目の前にヴァニラ・Hが立っていた。

 何も見せぬ無表情。

 何にも動じぬ無感情。

 しかし彼女からは推し量ることのできない感情が噴き出している。

 すべてを目撃したヴァニラ・Hから。

 およそその短い生涯ではじめて覚えた、嫉妬を通り越した憎悪と絶望が。

 

「………………」

「………………」

 

 視線が交わるのも刹那のこと。作戦開始前でなければ一悶着あったのだろうが二人はそれぞれ正反対の方向へ歩き出した。

 ある者は一歩一歩、この世のすべてを呪うかのように。

 ある者は恐怖に駆られて逃げ出すように。

 

 

 

 

 降りしきる雨の中、行政府前の大広場では三体の人型が片膝をついている。全身を蒼く塗装されたそれらは、やはり頭部はモノアイと飾り角、スパイクは両肩に、独特の特徴を持っていた。

 その内の一機の前でクロックスは二人の部下に問いかけていた。

 

「いいのか? 相手は皇国軍の雑兵ではないのだぞ。命の保障はできない」

「かまいません。我々は貴方の理想に賭けたのです」

「その貴方だけを、どうして戦場へ送り出すことができるというのですか」

 

 二人はまっすぐな瞳で答えてきた。彼らにもう迷いはなかった。共に貧困のない、平等な世界を創るために苦楽をともにしてきた。そしてその願いはまもなく実現しようとしている。

 ここで立ち止まることなど、できるはずがなかった。

 

「行くぞ。すべては安らかな明日のために」

「はいっ!」

 

 頷きあった瞬間、はるか天空より大気を切り裂く音がクロックスの鼓膜を振るわせた。

 

「来たぞ! 搭乗しろ!」

『了解!』

 

 コックピットに乗り込む。機体を立ち上がらせ、迫り来る敵を周辺の監視カメラからの映像で確認した。

 

(これは………っ!)

 

 白を基調としたカラーリング。人よりも猛禽類を髣髴とさせる一対の眼。携えるは(つつ)と盾。その姿を認識してクロックスは笑いを堪え切れなかった。

 

(よもやそのような手段を用意していたとは………)

 

 皇国軍が極秘に人型機動兵器の開発を開始していたことはあの男を通じてクロックスも知っていた。だがまさか、すでに実戦に耐える段階まで到達していたとは思わなかった。

 だがその思考はもう打ち切らねばならなかった。

何故なら、敵は間違いなくこの首都に降りてくる。それを迎撃するためにクロックスたちも移動を開始せねばならなかったのだ。

 

 

 

 

 着地した空港から移動すること三十分、到着したのは市街地のようだった。辺りを見回すと人気のない集合住宅が幾棟のも連なって並んでいる。天候は生憎の雨。通弘たちは自分たちの降下になんら問題ないと言っていたが、果たして大丈夫だろうか。

 

(ともかく、今は集中しなければ)

 

 呟くでもなく、タクトはコントロールレバーを握り直した。シャープシューターは上空五千メートルでこちらの様子をモニターしているが、ちとせに出番を回すわけには行かない。

 紋章機の火力では相手を街ごと吹き飛ばしてしまう。それだけは避けなければならない事態だ。そのために、自分がここでクロックスを抑えなければ。

 

HSTLを起動。索敵領域を最大に設定。パッシブセンサー、感度最大」

 

 タクトの音声入力によってギャラクシーのメインカメラに光が灯り、背部にあるレーダーユニットが目覚めた。甲高い駆動音が徐々に機体の内部に広がっていく。

 

―――――――ズシャ

 

 その時だった。ギャラクシーの高感度マイクが耳障りな音を拾い上げた。

 

―――――――ズシャ ズシャ

 

 確かに、その音はこちらに近づいてくる。それが何を意味しているのか、タクトが悟った瞬間、ギャラクシーを無数の銃弾が掠めていった。

 

「くっ! もう来たのか!」

 

 文句を言っている場合ではなかった。銃撃は二方向から繰り出されてくる。つまり、敵は少なくとも二機、いやそれ以上だといえる。

 シールドで機体を庇いながら移動し、敵の姿を追う。だが向こうも移動しているらしくその影は一向に見えない。雨と銃撃の音、機体の駆動音だけが戦場を支配していた。

 走っているうちに大通りに出てしまった。見渡せる片道四車線、計八車線の交通網ではギャラクシーは格好の的になる。にもかかわらず敵の執拗な攻撃はぴたりと止んでしまった。

 

(どういうことだ? まるでこちらを追い立てているような……)

 

 ――――――ザシュッ

 

 何かを踏み込んだような、一際大きい水音がタクトの耳に届いた。次の瞬間、タクトは頭上に向けてライフルを一発、ためらわず撃った。

 

「なっ――――――!?」

 

 その時、初めてタクトは敵の姿を捕らえた。蒼い人型が鈍く光る大剣を振りかぶっていた。だがそれも一瞬、対装甲弾に胸を撃ち抜かれて爆発する。その衝撃を左腕のシールドで受け流しながら、タクトは次の敵を探していた。

 敵は二機いた。ならばもう一機が近くにいるはずである。

 

(そこだなっ!)

 

 爆発の光に照らされて、ビルの影から腕を突き出してこちらを狙うもう一機の姿が浮かび上がっていた。

 

「!?」

 

 タクトの眼に飛び込んできたのは意外な光景だった。何も持っていない敵の右手の指から、無数の銃弾が吐き出されたのである。その内の何発かがギャラクシーの右肩の装甲を削った。

 

「このっ!」

 

 迷わず三連射モードでライフルのトリガーを引いた。重い衝撃がギャラクシーを揺さぶる。四度目の連射で敵の頭部が弾け飛んで動かなくなったのが見えた。

 

「はっ………はっ………」

 

 戦えている。自分は、まだ戦うことができている。通弘たちの報告にあった敵の数は三機。内二機をすでに撃破に成功している。

 胸が苦しい。頭を打つ衝撃の連続に頭痛が止まない。

―――――――ドコダ

 別種の思考に意識を持っていかれそうになる。

―――――――テキハ、ドコダ

 

「くそっ!」

 

 (かぶり)を振って平静を保つ。狂気がすぐ側まで迫っている感覚に寒気さえ覚える。

 タクトは額の冷や汗を拭ってもう一度レーダーに意識を向けた。

 

(熱反応……座標検索―――――――大広場?)

 

 ライフルのマガジンを交換しながらギャラクシーを熱源の方向へ向けて歩かせる。水溜りに踏み込むと盛大な水飛沫が跳ね上がった。

 雨はひどくなる一方だった。頭上には黒雲が重苦しく立ち込めている。雨音にあらゆる音がかき消され、ある意味の静寂が戦場を漂っている。風はない。雨はただ重力に引かれて大地を叩くのみ。

 一歩、また一歩と敵へ近づくたびにタクトの胸を不思議な焦燥感が焦がす。

 

(あと一機、あと………)

 

 もはや彼の頭の中には戦闘を終わらせることしかなかった。先ほどから脊髄を貫く、氷柱のような狂感覚。それがもたらす不快感はあまりに壮絶だった。

 視界が歪む。

 思考が揺らぐ。

 意識が喰われていく。

 正直、今自分がどこにいるのかさえ認識できなくなってきていた。

 

「はっ……はっ……」

 

 犬のようにあえぎながら、タクトは行政府前に広がる大広場にたどり着いた。行政府といってもいくつもの建築物が連立する集合地区である。その正面入り口であるここには、市民の憩いの場としてサークルを描く巨大な広場が作られていた。

 そして行政府へ続く門の前に、一人の門番が立っている。剣を大地に突き立て、光る一つ目が同胞を屠った純白の騎兵を捉えて離さない。

 

『来たか。皇国の尖兵が』

「お前が、ブレーブ・クロックス………」

 

 先ほどの二機と同じ蒼い人型のスピーカーから発せられる低く響く声を聞いて、タクトは目の前の敵がそれだと認識した。

 

「投降するんだ。今ならまだ間に合う」

『断る。お前たちに従う必要などない』

 

 断固たる拒否。

 それを合図に二人が動き出したのは同時だった。指の機関砲とライフルが火を吹き、飛び交う銃弾は街をことごとく破壊していく。

 

 その光景をじっと見つめる一人の少女がいた。幽閉された応接室から臨むそれはまるで別の世界の出来事のように思えてしまう。だがここまで伝わる轟音と地響きが現実のものだと訴えかけてくる。胸に抱きしめる一枚の写真だけが心の支えだった。

 

「どうして、こんな………」

 

 つぶやく間にも戦闘はさらに加速していく。もはや止めることなどできはしない。どちらかが死ぬまでこの決闘は続くだろう。

 流れ弾の一つが応接室の側に撃ち込まれた。衝撃でシャンデリアが揺れ、天井ごと落ちてくる。力のない少女になす術はなかった。悲鳴を上げる暇さえなく、気づけば神代久美は一陣の風に運ばれて外へ飛び出していた。

 

「遅れてすみません。怪我はありませんか?」

「せ、先生!?」

 

 久美を抱きかかえバルコニーから宙へ躍り出たのは他ならぬ大上院通弘だった。庭の木を足場に何度か跳躍して着地すると、そこはもう行政区画の外である。

 

「先生、どうしてここに?」

「助けに来たんですよ。一応、貴女の護衛ですから」

「家庭教師の仕事はどこにいったのよ」

「もちろん、忘れてませんよ」

 

 ともかく窮地を脱したことで久美は安堵の息を漏らす。だがそれも一瞬、着弾の音は二人のすぐ近くまで迫っていた。一刻も早くこの近辺から離れなければ戦闘に巻き込まれ、踏み潰されてぺちゃんこになってもおかしくない。

―――――ギャギャギャギャァァァッ

 鋭いブレーキの悲鳴と共に一台のスポーツカーが二人の前に荒っぽく停車した。運転しているのはシェイルである。

 

「来ましたか。遅いですよ」

「う、うるさいわね! あんたの愛車がじゃじゃ馬過ぎるのよ!」

「車のせいにしないでください。車に何の罪もありません。特にこのポルシェカレラGTは繊細かつ大胆、様々な最高水準を追求した素晴らしい名車なのです。それをこともあろうにじゃじゃ馬などと……」

 

 人はそれをじゃじゃ馬と言うのだ。

 確かにこのカレラGT、カーボンファイバー製モノコックとその後方のパワーユニット搭載用サブフレームを主構造とするシャシーや、そこに備えられたレーシングカースタイルのプッシュロッド式サスペンションなどを搭載している。さらに流線型の小さなボディにもかかわらず5.7?V10エンジンがもたらすトップスピードは330km/h。新開発のPCCC(ポルシェ・セラミック・コンポジット・クラッチ)や高いブレーキングパワーを持つPCCB(ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ)を有している。まさにレーシングスピリット溢れるクルマなのだ。

 閑話休題。無視してシェイルは運転を通弘に交代し、シェイルは助手席に移動する。

 

「あの、私は?」

「あー……」

「どうしましょうか」

 

 一人あぶれた久美を見つめ、首をひねる二人。しょうがないので久美はシェイルの膝に座ることにしたのだが――――――

 

「うーん、スペース的にきついわね」

「我慢しなさい、シェイル。では少しトバしますよ」

「へ?」

「あ、先生、それはやめたほうが―――――――」

 

 久美の忠告もむなしく、カレラGTは殺人的なスピードで市街地を駆け抜けていく。程なくしてスピードメーターは330をマークして停止した。

 

「ふぉぉおおおおおあぁぁぁぁああぁぁぁぁあっ!?」

「先生! だめ! これはだめ! これで坂下るのだけはやめてぇぇぇぇっ!」

「なんの! 今こそ人の限界に挑戦するときです!」

 

 

 

 

 戦いは膠着状態に陥っていた。双方とも弾薬が底を尽き、残された攻撃手段は近接戦闘のみである。シールドで半身を隠したギャラクシーと、蒼い巨人は降りしきる雨の中にらみ合っていた。

 ギャラクシーの右手には最後に切り札であるビームセイバーが握られている。シールドは激しい銃撃戦を経て、その耐久力は限界に近づいていた。敵はボロボロになったシールドを投げ捨て、発光する大剣を両手で構えている。

 パイロットであるタクトとクロックスの疲労度も極限状態だった。二人ともいつ意識を失ってもおかしくない中、未だその身は戦いの中にある。

 不意に、クロックスが問いかけた。

 

『ここまで渡り合ってなお戦う姿勢をやめぬとは。もはや尖兵と呼ぶわけにはいかない。皇国の兵士よ、お前の名は?』

「タクト……マイヤーズ」

 

 一瞬、クロックスが息を呑んだ。

 

『――――――――――そうか、トランスバールの英雄か! エオニアを討ったあの男が相手か! 通りで一筋縄ではいかぬわけだ』

「―――――――」

『ならば問おう。タクト・マイヤーズ、お前は何のために戦うのだ?』

「………何が、言いたい?」

『ただ任務であることだけでここまで戦える人間がいるのか、と思ったのだ』

 

 タクトは訝しがることなく、ただ簡単に答えた。

 

「俺の後ろには守りたい人がいる。仲間がいる。帰る場所がある。それだけだ」

『……そうか』

 

 クロックスは語る。己が目指すものを、果たさねばならぬ約束を。

 

 もともと、惑星アトムは鉱山から採掘されるレアメタルなどを輸出することでしか経済を支えられない、いわばモノカルチャー経済に依存した脆弱な国家であった。海岸地帯をリゾート化して観光客を呼ぶなど、不断の努力を以って豊かさを追求したが、不安定な収入では支えにはならない。さらにこの貿易で得た利益の大半は国―――――つまり皇国主導の行政府が徴収してしまうため、民衆は貧困に長い間、紛争が起こる十年以上も前から耐えてきたのだった。

 無論、そんな横暴がいつまでも続くわけはなく、五年前に一部の市民がレジスタンスを結成し戦いが始まった。もともと政府の政策で二万人の難民が発生していたのだが最初の一年で政府軍の弾圧によって数万人に膨れ上がり、次の一年で難民の数は飢餓と貧困と虐殺によって半数に激減した。そんな中、レジスタンスの中でも強い指導力を持っていたクロックスは惑星アトムを離れ、トランスバール本星で勢力の拡大を始めた。

 そして三年目。本星での組織作りが本格化したころ、エオニアの反乱によってアトムのレジスタンスとの連絡が途絶えた。四年目になって反乱が終結すると、今度は皇国の手によってクロックスは捕らえられてしまった。

 それでも諦めず彼は脱獄し、惑星アトムに帰還したのは半年前のことである。リーダーの復帰と心強い増援によってレジスタンスはついに皇国の体制からこの星を奪い返したのだ。

 その間、圧制に虐げられ続けた難民たちはその数をさらに減らしていったが、それでも生き残った彼らは今、開放の喜びに咽び泣いたという。

 

「そっちの事情は分かった。同情もする。だけど―――――――」

『もっと穏便に事が済めば私もそれがよいと思う。だがそれは無理な話だ。君臨し続けた行政官たちは己の利益と保身に執着し、決してこの星をあるべき形に戻そうとはしなかった。そのために、奴らは罪のない民衆を虐殺することすら躊躇わなかったのだ!』

「そんな………そんな出任せを――――――」

『ならば何故、この星の人々は私を受け入れた? 何故私と共に戦いに身を投じた? 旧き悪の温床を排し、新たな平和を築かねばならなかったからだ』

 

 それは事実だろう、とタクトは思わざるを得なかった。革命運動を推進するには何より市民の支持を得なければならない。ましてそれを成功させたのだから、どれほどの信頼をこのブレーブ・クロックスが得ていたのか言うまでもなかった。

 そしてクロックスを受け入れるほど、ここに派遣されていた皇国の行政官たちの行いは非道極まりないものだったのだろう。

 

「だからって、あんなことが許されるわけがない――――――!」

『私が諸君の同胞に行ったことで非難を受けることを、私は受け入れる。だが人々は私を信じ、私はそれに答える。誰が正しく、誰が間違っているのか、ではない。私は自分の理想を信じ、私を信じる人々のために戦ってきたのだ。だからこそ、ここで皇国に屈するわけにはいかないのだ!』

「くっ………」

『君にも守りたいものがある。私はそれを否定はしない。確かにトランスバールという巨大な集団から見れば、私の行動は危険なものなのだろう』

 

 一つの体制の下に統一された集団の中でそれに逆らうことは、結果として全体の結束を揺るがすことになる。最悪、現在の体制は崩壊することになるだろう。そうなれば体制の中で生きる多くの人々は混乱の渦中へ放り出される。

 

「………どうしても、退かないんだな」

『無論だ。恐らく私たちのどちらも間違ってはいない。故に、どちらにも退く理由はない』

 

 一人は多くの者を守るために。

 もう一人は、その多くのために虐げられる者を守るために。

 どちらも正しい。だからこそぶつかり合うしか他に無い。

 二人は無言。沈黙を以って対峙する。手にした剣に力を込め、ただそれにすべてを賭ける。

 一歩、タクトが踏み出した。飛沫が飛び、音を立てて地を打つ。

 一歩、クロックスが前に出た。剣を横に構え直し、切っ先から雨粒が滴る。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!」

『でぇぇぇぇぇぇぇいっ!』

 

 気合一閃、先に間合いへ踏み込んだ蒼の人型が横一文字に大剣を振るう。盾に隠れ突進するギャラクシーのシールドの上半分が切断され宙に舞う。右から左へ振りぬいた切っ先を返し、クロックスは最後の一撃を振り下ろそうと敵を見た。

 

『な、何っ!?』

 

 驚愕にクロックスの目が限界まで見開かれる。その刹那、シールドを捨てたギャラクシーは跳躍し、

 

「このぉぉぉぉぉっ!」

『ぬうううっ! ザ○とは違うのだよ、○クとは!』

 

 振り下ろされる光の刃をクロックスは後ろに跳び、紙一重で左腕の装甲が焼け爛れた。だが同時に彼は己の勝利を確信する。ギャラクシーはビームセイバーを一本しか展開していなかった。

 つまり、

 今、

 目の前の白騎士は無防備―――――――!

 

 ザシュゥゥゥゥゥゥゥッ!

 

 ありえなかった。

 存在するはずのない、

 繰り出されるはずのない二撃目が蒼い人型の胸を貫いていた。

 タクトは上空から斬り下ろして着地する直前、空いていた左手にもう一本のビームセイバーをすでに掴ませていたのだ。そして初撃が命中したか関わらず、左手を真正面へ突き出す。一撃目を回避した時点で勝利を確信したクロックスが反撃に出る瞬間、その一突きは吸い込まれるように蒼の装甲を食い破った。

 

『これが、私の……生き様だ――――――!』

 

 エンジンが火を吹き、黄金のフレアが衝撃波を伴ってクロックスを包み込んだ。爆発に弾き飛ばされたギャラクシーの体勢を立て直しながら、タクトは気高き革命家の最後を最後まで見つめていた。

 

 

 

 

 雨が止み、黒雲の晴れた空は茜色に染まっていく。市街地を抜け、合流地点である郊外の小高い丘までたどり着いたギャラクシー。沈む夕陽を浴びて純白の装甲が黄金色に輝いている。

 

「………………」

 

 確かに彼は勝利した。困難な任務を完璧に達成したはずだ。

 だがタクトの表情は暗い。正しいはずの選択、間違いではない決断。今まで自分の信じてきたものが根底から揺らいでいる。

 機体の後方から一台の車が近づいてくる。画像を表示させると、乗っているのは通弘とシェイル、そして見知らぬ一人の少女だった。ギャラクシーを跪かせ、コックピットから降りて三人を出迎える。

 

「にゃあああぁぁぁ……」

「だ、大丈夫ですか? 神代さん」

「あんたが……うぷ、あんな運転するからでしょうが」

 

 明らかに気分の悪そうなシェイルと少女と実に健康そうな通弘。三人の様子が、ここに至るまでの道のりがどれほど過酷なものだったのかを如実に語っている。

 

「あ〜、大丈夫かい?」

「あ、いえ、大丈夫ですっ」

 

 タクトに声をかけられ、少女が反射的に背筋を伸ばす。

 

「じゃあ少尉、彼女が?」

「ええ。神代久美です」

 

 ともかく囚われていた彼女を無事救出できただけでも喜ばなければならない。タクトは安堵の息を漏らしてにこやかに笑うと、久美は惑星アトムの今後の動向について説明を始めた。

 人質であった久美が実際に軟禁状態であったのは皇国軍との戦闘が激しかった時だけだったようである。それ以外――――――安全が確認されている場合はクロックスたちと共に街に出て難民の救済活動などに従事し、またある時は新政府稼動のための会議に出席していたという。

 

「一応、父がああいう立場でしたから」

 

 総理を親に持つ彼女はその後継者としていわゆる英才教育を施されていた。もともと本人にも才能があったらしく、新政府のメンバーはもとより市民からも人気が高かった。

 そういった経緯もあり、今後は彼女が総理代理として事態を収拾していくという。少なくとも皇国から新しい人材を派遣するよりかはスムーズに事が運ぶだろうとタクトも感じた。

 

「ではそろそろ失礼します。先生、安全運転でよろしく」

「はいはい。ではマイヤーズ大佐、また機会があれば」

 

 車に乗り込み走り去っていく二人を見送りながら、タクトは一人残ったシェイルに視線を向けた。

 

「マンハッタン少尉、行かないのかい」

「いえ、大佐に一つ伝える事がありまして。あの子のことなんですけど」

「あの子って……神代久美?」

「ええ。あの子はもともと難民の生まれで、現在の両親は孤児だった彼女を十年前に引き取ったんだそうです。実の母親はあの子が四歳のときに病死しています」

「………それで、父親は?」

「母親が身籠ってすぐに姿を消したそうです。その男は所属していた労働組合の中でもかなりの革命思想家だったらしく、当時の同僚は自分の目的のために恋人を捨てたんじゃないかと言っています」

「詳しいね」

「調べましたから」

 

 一際強い風にシェイルの髪が舞い踊り、その表情を覆い隠した。

 

「男の名前はブレーブ・クロックスといいました」

「!………それじゃあ、まさか――――――――」

「今しがた貴方に殺されたのはあの子の実父です。もちろん彼女自身この事実は知っていますし、そのことで大佐を恨むつもりも無いと言っていました」

「……………」

「クロックスという男の所業を見れば、すべては自業自得。庇い立てもするつもりはない。ただ一言、彼を革命の呪縛から解き放ってくれて『ありがとう』、と」

 

 それで伝えるべきことは伝えたのか、シェイルは踵を返し静かに丘を下っていく。吹く風が草木を揺らす音だけが世界を包み込んでいる。タクトにはそれがまるで死者を弔う鎮魂歌のように聞こえた。

 

 ひとつの戦いが終わり、まもなく日が沈む。

 憎しみはなく、されど悲しみは深く。

 青年はその正義の行く末を見失っていた。

 

 




第十回・筆者の必死な解説コーナー

 

ゆきっぷう「わーい、やったー、なんと銀河天使大戦シリーズも投稿すること十回目ですよ! それを記念して今日はスペシャルゲストと一緒にお送りします」

 

アポロ「たかだか十回程度でいい気になるな! この阿呆がッ!!」

 

ゆきっぷう「はうっ! いだっ! いだだだだっ!?」(バキボキベキグシャバリバリッ)

 

アポロ「ふんっ、ふんっ、ふんっ!」(ビシビシビシベシバシバシッ)

 

ゆきっぷう「ちょッ、待てっ! お願いだっ、アイアンクローだけはやめてくれっ!」

 

アポロ「判ったんなら真面目にやれ」

 

ゆきっぷう「アイサー。ところで今回のお話はどうでしょう?」

 

アポロ「重い」

 

ゆきっぷう「む、そんなことは百も承知だ。次からはもっと重くなるし」

 

アポロ「そういえば出撃前に不穏な空気が立ち込めていたような気がするが、まあいいだろう」

 

ゆきっぷう「ああ。どうせ引っかぶるのはタクトだしね〜」

 

アポロ「…しかし、いつになったらあいつは帰ってくるんだ? いつまでも主役のところに『無期限休業』の看板を置いておくわけにいかんだろうに」

 

ゆきっぷう「そう言われてもな〜、あいつ最近音信不通だもんよ」

 

アポロ「親のお前と連絡出来ないというのは……旅でもしているのか?」

 

ゆきっぷう「さあ?」

 

アポロ「それはともかく、何故いきなりグ○なんだ? 順番で言えば蒼い巨星の前に赤い彗星だろう」

 

ゆきっぷう「それなら二章三節でやったじゃないか。VS RCSがその代用なのだ。似たような台詞も言ってたしな。それに一章の番外編で浩さんが『ザ○とは違うんだよ、ザ○とは』とおっしゃっていたではないか」

 

アポロ「お、お前……ま、まさかその一言で決めたのか?」

 

ゆきっぷう「当然だ。そもそもザ○といえば次はグ○。そしてド○へと――――――」

 

アポロ「発展させるな! …それと、そろそろ謎解きもしないと分からないこと続きだろう。その辺りはどうするんだ?」

 

ゆきっぷう「用語解説集を編纂している。もうしばらくかかるだろうが、本編の流れに合わせて発表するつもりだ」

 

アポロ「ならば良しとしておくか。…む、そろそろ時間だな」

 

ゆきっぷう「だな。ではまたお会いしましょう!」

 

アポロ「第二章第四節・後編、ご愛読ありがとうございました!」





まさか、あの一言で…。
美姫 「なかなか面白いわね」
あははは〜。とりあえず、救出自体は無事に終わったと言えるのかな。
美姫 「タクトはちょっと複雑な心境だったのかもしれないけれどね」
敵とは言え、言葉を交し合った者同士か。
美姫 「そうそう」
それはそうと、タクトとヴァニラとちとせ。
何やら面白そうな事になりそう。
美姫 「一体、この三人はどうなるのかしら」
いや〜、次回以降も非常に楽しみだな〜。
美姫 「本当よね〜」
次回も楽しみに待っていますね。
美姫 「待ってま〜す」



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